大阪高等裁判所 平成元年(行コ)19号 判決 1990年11月15日
大阪市北区堂島二丁目三番二号
控訴人
サンアール不動産株式会社
右代表者代表取締役
桃山敬助
右訴訟代理人弁護士
豊川正明
同
巽昌章
大阪市北区南扇町七―一三
被控訴人
北税務署長 山崎宏
右指定代理人
高山浩平
同
高木国博
同
酒井護
同
黒木靖夫
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 訴訟費用は控訴人の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人が昭和五九年六月二八日付けでした控訴人の昭和五三年一一月一日から昭和五四年一〇月三一日までの事業年度の法人税にかかる更正及び過少申告加算税賦課決定のうち所得金額三八九九万三〇八八円、差引納付すべき税額二二八万八九〇〇円、過少申告加算税一一万四四〇〇円を超える部分並びに重加算税賦課決定を取り消す。
3 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
二 被控訴人
主文と同旨
第二当事者の主張
当事者双方の主張は、次のとおり原判決の事実摘示を加除、訂正し、控訴人の主張を付加するほかは、原判決の事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
一1 原判決三枚目表七行目の「東京興産への」を「東京興産が控訴人に売却する」と、一二行目の「所有権移転登記手続の日並びに」を「本件土地建物の」とそれぞれ改める。
2 原判決四枚目表一行目の末尾に「ないしは同条の八所定」を、三行目の「結果、」の次に「本件土地建物の所有権移転等の日を」を、四行目の「期首と」の次に「約定」をそれぞれ加え、四、五行目の「買替」を「買換」と改め、五行目の「契約」の次の「締結日」を加え、同じ行の「余の」から六行目の「三一日と」までを「ないし三年余り後まで延伸」と改める。
3 原判決四枚目表四行目の「一二一五万円」から六行目冒頭の「り」までを「を五〇〇万円値引きし」と改め、六行目末尾に「控訴人の要求により、」を、九、一〇行目の「上乗せして」の次に「同社に」を、一一行目の「方法で」の次に「本件売買代金の内金として」を、同じ行の末尾に「その結果、本件土地建物の譲渡代金額は三億六四七五万円となった。」をそれぞれ加える。
4 原判決五枚目表七行目の「右のとおり、」を削り、八行目の「させたうえ」の次に「、同日」を加え、同表一二行目の「時期を」を「時期が」と改め、一三行目の「六五条の七」の次に「ないしは同条の八の規定」を加え、六枚目表一行目の「昭和五六年一〇月三一日までの」を削り、同じ行の「長期と」を「長期に延伸」と改め、六枚目の表六行目の「とおり」の次に「本件土地建物の譲渡代金」を加える。
5 原判決七枚目表八行目の「計止」を「計上」と改め、同表一行目の「値引きは」の次に「不動産業者間の」を加え、二行目の「所有権」から三行目の「並びに」までを「本件土地建物の」と改める。
二 (控訴人の主張―収益確定の時期について)
不動産の譲渡にかかる収益確定(課税適状)の時期は、目的不動産の所有権の確定的移転を基本とし、移転登記、代金支払、引渡を参考として決すべきである。そして、本件においては、本件土地建物の所有権移転、登記、引渡のいずれもが、残代金二億五六〇〇万円(これは、代金総額三億二〇〇〇万円の八割に相当する。)の支払とともに、昭和五五年一一月一日に行われたのであるから、右同日に本件土地建物の譲渡にかかる収益が確定したものとすべきであり、したがって、この収益は、控訴人の昭和五五年一一月一日から昭和五六年一〇月三一日までの事業年度にかかる収益として計上すべきものである。
なお、東京興産は、昭和五四年一〇月一日から、本件建物の解体工事、計画建物の建築工事に着手しているが、これは控訴人が東京興産との間で別途締結した本件土地賃貸借契約に基づいて行わしめたものであって、本件売買契約に基づいて本件土地建物を引渡したものではないから、この点は、右の収益確定の時期を判断する要素とはなりえない。
仮に、東京興産の昭和五四年一〇月一日からの工事着手が問題になるとしても、引渡の時期は各契約の性格内容にしたがって決定されるべきものであり、引渡とみることのできる時点が数個ある場合には、合理的な範囲内で契約当事者である納税者の意思を尊重し、納税者に選択権を認めるべきである。そうとすれば、本件において、昭和五五年一一月一日を引渡の日とすることができることは明らかである。
また、本件売買契約の代金等の決済日を昭和五五年一一月一日としたのは、控訴人において、本件土地建物の譲渡につき租税特別措置法六五条の七ないしは同条の八所定の課税の特例の適用を受けることを意図し、これに必要な買換資産の取得の機会を確保するためであった(前述のとおり、東京興産との間で土地賃貸借契約を締結したのも、同様の意図によるものである。)が、もともと、右課税の特例は、国家政策上奨励すべき行為に対し税制上の恩典を与えようとするものであり、右特例の適用を受けようとすること自体、国家政策上好ましいものでこそあれ、何ら非難されるいわれはない。そして、納税者が法制度の範囲内で一定の税務対策を講じ、その目的に適した契約内容ないしは契約形態を選択することは、契約自由の原則の領域に属するものであって、本件において、控訴人が右課税の特例の適用を受けるため、本件売買契約のような内容を約定し、あるいは土地賃貸借契約に基づく本件土地の引渡という形態を選択したことをもって、租税回避行為と目しこれを否認することは、租税特別措置法の趣旨にも反することとなるものである。
第三証拠
証拠関係は、原審及び当審記録中の証拠関係目録記載のとおりであるから、これらを引用する。
理由
一 当裁判所も、原審におけるそれに当審における証拠調べの結果を総合しても、控訴人の本訴各請求は、いずれも理由がないのでこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり加除、訂正するほかは、原判決の理由説示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決九枚目表四行目の「(二)の事実は、」から五行目の「(三)の事実は、」までを「(一)のうち売買契約書の作成とその記載内容に関する事実及び(二)の事実は、いずれも当事者間に争いがなく、(三)の事実については、支払われた金員が本件売買代金の内金であることを除いて」と改め、九行目の「二〇号証、」の次に「第二二号証の一、二、第二三号証の一ないし三、」を、一三行目の「<4>」の前に「いずれも証人林輝雄の証言により成立を認める乙第二〇号証ないし第二三号証(第二一号証ないし第二三号証は原本の存在も含む。)。弁論の全趣旨により成立を認める乙第一六号証、」をそれぞれ加え、一三行目の「の証言」を「、同林輝雄の各証言」と改める。
2 原判決一〇枚目表二行目の「六五条の七」の次に「ないしは同条の八」を加え、同じ行の「事業用買換えの」を「特定の資産の買換えの場合の課税の」と改め、六行目の「補償として」の次に「合計」を、七行目冒頭の「万円、」の次に「同<7>記載の会社に」をそれぞれ加え、一〇枚目表一二行目の「物件」を「資産」と改める。
3 原判決一一枚目表三行目の「又は」を「及び」と改め、同じ行の「前に、」の次に「東京興産が」を、四行目の「工事」の次に「を行うこと」をそれぞれ加え、五行目の「建物の建設」を「建物を建築すること」と、九行目の「原告」から「とおりの」までを「東京興産側においては、東京興産が土地取引について通常行っているとおり、売買代金全額を一括して支払いこれと交換的に目的物件の所有権移転等を受ける、という決済方法によることの方が権利関係の確定上安全で望ましいと考えたが、控訴人側において、当時買換資産を取得する見込みがついていなかったので、右の課税の特例の適用を受けようとする」とそれぞれ改め、一〇行目の「図を」の次に「確実に」を、同じ行の「実現するため」の次に「に右のような契約書の記載としたい旨の強い要望によるもの」をそれぞれ加え、一一枚目表一、二行目の「あった」を「あり、東京興産もこれを了承した」と、六行目の「額となる」を「のとおり、契約書の金額三億二〇〇〇万円に圧縮金額四四七五万円を加えた三億六四七五万円となる」とそれぞれ改める。
4 原判決一二枚目表五行目の「建物」から六行目の「そして」までを「建物についての現実の占有支配を東京興産に移転させ」と、六行目の「土地」を「建物」とそれぞれ改め、七行目の「右」の次に「両土」を加え、一一行目の「右引渡しののちも」を「右のように本件土地建物の現実の占有支配が東京興産に移転した後も」と改め、同じ行の「東京興産は」の次に「売買契約締結の日と同日の昭和五四年七月二四日付けで取り決められた約定に基づき、」を同じ行の「原告に」の次に「昭和五四年一〇月分から毎月」をそれぞれ加え、一二行目の「算出」から一三行目の「相当分等を」までを「額の算出の基礎は、控訴人に賦課される本件土地建物にかかる昭和五四年一〇月一日から昭和五五年一二月末日までの期間に対応する固定資産税の額(ただし、昭和五五年分については、本件建物が解体されるため、本件土地についてのみ。)のほか、昭和五五年一一月一日支払期日の残代金二億五六〇〇万円のうち二億四〇〇〇万円に対する昭和五四年一〇月一日から右支払期日である昭和五五年一一月一日までの間の年八・五六パーセントの割合による銀行貸出金利相当分や抵当権設定費用(控訴人が銀行から右同額の金員を借り入れる場合には、それだけの金利を負担することとなり、またその場合、借入金を但保するために本件土地に設定する抵当権の登記手続に要する費用を負担することとなると想定したもの。)を積算し、これを」と改める。
5 原判決一二枚目表一行目の「その後」の次に「昭和五五年八月、控訴人の強い要求により」を加え、二行目の「理由とする」を「理由として、月額一九八万八〇〇〇円から月額二四一万四〇〇〇円へ」と改め、六行目の「行うため、」の次に「控訴人は」を、同じ行の「限り」の次に「自己の責任において」をそれぞれ加え、七行目の「原告から」を削り、一一行目の「手直ししたのちの」を「手直しされた」と改め、一二行目と一三行目の間に次のとおりを加える。「また、本件建物については、東京興産への所有権移転登記が経由されないまま、昭和五四年一二月二六日、同年一一月一日取毀を原因として滅失登記がなされ、本件土地については、昭和五五年一一月一日、同日売買を原因とする東京興産への所有権移転登記が経由され、そのころ本件売買残代金の支払がなされた。」
6 原判決一三枚目表四行目の「右は、」を「右のうち、」と改め、その次に「立退料名義での東京興産の出捐については、」を、六行目の「株式会社」の前に「仲介料名義あるいは近隣住民対策嘱託料及び顧問退職金名義での東京興産の出捐については、」をそれぞれ加え、七、八行目の「及び」を「並びに」と改め、八行目の「前示1」の次に「及び2」を加える。
7 原判決一三行目表九行目冒頭から原判決一四枚目表三行目末尾までを、次のとおり改める。
「そこで、本件土地建物の譲渡による収益の帰属すべき控訴人の事業年度、すなわち、右譲渡による収益にかかる権利確定の時期について判断する。
前示の諸事実を総合して検討するに、(1)もともと、本件売買契約は、買主の東京興産において、本件土地及び隣接土地を併せ取得し、同地上に分譲マンションを建設することを目的として締結されるに至ったものであり、この目的を達成するため、契約の当初より、東京興産において昭和五四年一〇月初めころから本件建物の解体工事を行い、マンションの建設工事に着手することが合意され、その後、予定どおり、昭和五四年一〇月一日本件土地建物についての現実の占有支配が東京興産に移転され、東京興産による本件売買の目的物件である本件建物の解体工事が行われ、マンションの建築工事が進められ、翌五五年一、二月ごろまでにはマンション全戸が分譲済みとなったこと。(2)他方、昭和五四年七月一四日付けで売買契約書が取り交わされながら、右契約書上、残代金支払の日が一年三か月余も後の昭和五六年一一月一日とされ、本件土地建物の所有権移転の時期あるいは本件土地の引渡の時期が右残代金支払の時とされたが、これは、専ら本件土地建物の譲渡につき租税特別措置法六五条の七ないしは同条の八所定の課税の特例の適用を受けるのに必要な買換資産の取得の機会を確保するため、その取得期限を長期に延伸させたいとの控訴人の意図によるものであったこと。(3)控訴人は、昭和五三年一一月一日から昭和五四年一〇月三一日までの本件事業年度中において、本件売買代金総額三億六四七五万のうち、(a)契約締結の日である昭和五四年七月二四日、手付金として金六四〇〇万円を、(b)原判決別表3「譲渡代金の圧縮金額の内訳」の<1>ないし<4>項及び<7>ないし<9>項記載の金額と<6>項記載の金額中の六五万円、計三五六五万円を右各項記載の月日にそれぞれ収受したほか、さらに、(c)地代名下に、月額一九八万八〇〇〇円の二か月分(毎月二〇日翌月分支払の約定、甲第二〇号証)である三九七万六〇〇〇円、合計一億〇三六二万六〇〇〇円を収受しており、(4)しかも、右の「地代」名下に昭和五四年一〇月以降東京興産から控訴人に支払うことが約定された金員の額が、前認定のとおり、所有者において負担すべき本件土地建物の固定資産税の額と概ね売買残代金額に対応する銀行貸出金利相当分等とを積算して定められたものであることに徴すれば、右「地代」支払の約定は、本件土地建物の現実の占有支配が控訴人を離れ東京興産に移転した時点を基準として、本来所有者が負担すべき固定資産税相当額及び引渡と引換えに支払われるべき残代金の金利相当分を東京興産から控訴人に償還させ、前記手付金等の支払と合わせて実質上売買代金全額の支払がなされたのと概ね同様の経済的効果を控訴人にもたらすことを企図して取り決められたものであることが明らかであること。(5)そして、これらのことよりすれば、(1)の昭和五四年一〇月一日の本件土地建物にかかる現実の占有支配の東京興産への移転は、本件売買契約に基づく引渡しにほかならないと認めることができること、等に照らせば、本件土地建物の譲渡による収益にかかる権利は、客観的にみて、控訴人の昭和五三年一一月一日から昭和五四年一〇月三一日までの本件事業年度中において確定したものと認めるのが相当であり、したがって、右譲渡にかかる控訴人の収益は本件事業年度に帰属すべきものということができる。本件土地についての東京興産への所有権移転登記が昭和五五年一一月一日になされ、そのころ本件売買残代金の支払がされたことは、右の認定判断をなんら左右するものではない。
この点につき、控訴人は、東京興産が昭和五四年一〇月一日から本件建物の解体工事、計画建物の建築工事に着手しているのは、控訴人が東京興産との間で別途締結した本件土地の賃貸借契約に基づいて行わしめたものであって、本件売買契約に基づいて本件土地建物を引渡したものではないから、この点を右の譲渡にかかる収益確定の時期を判断する要素とすることはできない旨主張する。しかしながら、仮に、控訴人と東京興産との間でその主張の土地賃貸借契約が締結されていたものとしても、それは、前説示のところからして、早期に本件売買契約の目的物件である本件土地建物の引渡しを受けマンション建設に着手したいとする東京興産側の意向に沿いつつ、本件土地建物の譲渡による収益につき租税特別措置法六五条の七ないしは同条の八所定の課税の特例の適用を受けるため買換資産の取得期限の延伸を図りたいとする控訴人の思惑により、売買契約書上の本件土地の引渡しの時期を残代金支払の時としたこととの関連で、この間の本件土地の占有支配、使用収益にかかる法的な形式上の整合性を図り、昭和五四年一〇月一日の時点における東京興産に対する本件土地の引渡しが土地賃貸借契約に基づくものであるとの説明を可能ならしめようとしてしたものであることは明らかであって、前示のとおりの、東京興産による本件建物の取壊し等の経過や「地代」なるものの経済的実質をも併せ考慮すれば、控訴人と東京興産との間の私法上の関係においてはともかく、資産の譲渡益に対する課税適状の有無を把握する観点からは、昭和五四年一〇月一日の本件土地建物に対する現実の占有支配の移転は、本件売買契約に基づく本件土地建物の引渡しと認めるのが合理的であるというほかはない。
また、控訴人は、納税者が法制度の範囲内で一定の税務対策を講じその目的に適した契約内容ないしは契約形態を選択することは、契約自由の原則の領域に属するものであって、本件において、控訴人が本件土地建物の譲渡益につき租税特別措置法六五条の七ないしは同条の八所定の課税の特例の適用を受けるため、本件売買契約のような内容を約定し、あるいは土地賃貸借契約に基づく本件土地の引渡という形態を選択したことをもって、租税回避行為と目しこれを否認することは同法条の趣旨に反することとなる旨主張する。しかしながら、なるほど納税者において法律の許容する範囲内で合理的な税務対策を講じ、その目的に適合する契約内容ないしは契約形態を選択することが契約自由の原則の領域に属するものとしても、本件において検討すべきは、本件土地建物の譲渡による収益にかかる権利確定の時期はいつか、という点にあるのであって、これについては、いたずらに本件売買契約の契約書あるいはこれに関連して作成された文書の文言上の記載にのみとらわれることなく、売買契約締結に至る交渉の経緯からその履行の経過をも含め、これを総合的に考察して本件売買契約の実質的な内容を把握したうえ、客観的に本件土地建物の譲渡による収益にかかる権利が確定的に発生したと認められる時期を判断すべきものであって、このような観点よりすれば、本件土地建物の譲渡による収益にかかる権利が本件事業年度中において確定的に発生したものとの前示認定判断が合理的なものであることは明らかというべきである(なお、租税特別措置法六五条の七ないしは同条の八に定める特定の資産の買換えの場合の課税の特例は、一定の政策目的のために、譲渡資産と買換資産との対応関係、買換資産の取得及び供用までの期間、経理処理の方法等について逐一要件を設け、これらの要件を充足する資産の譲渡に限ってのみ、その収益に対する課税の繰延べを例外的に認めようとする臨時の措置であることに鑑みれば、右課税の特例の適用を受けようとする納税者の意思を尊重し、その要件該当性の判断を緩やかに行うことが右法条の趣旨に合致するものであるとするかのごとき控訴人の主張は、独自の見解であって採用の限りでない。)。
その他、本件全証拠によっても、本件土地建物の譲渡による収益にかかる権利確定の時期が本件土地の所有権移転登記等がされた昭和五五年一一月一日である旨の控訴人の主張を相当として首肯するに足りる事実を認めることはできない。」
8 原判決一五枚目表二行目の「原告が」の次に「本件譲渡代金につき」を加え、四行目の「前記」を「成立に争いのない」と改める。
二 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから民訴法三八四条一項によりこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 後藤文彦 裁判官 古川正孝 裁判官 川勝隆之)